マネジャーは、サーベイ結果や日々の1on1を通じて、部下の本音や不満を把握しようとします。
ところが、部下の本音を引き出すことに苦戦し悩まれている方も多いようです。
今回は、部下の本音や不満を聞き出す方法について解説します。
部下の本音や不満を聞く前にやるべきこと
① 外ではなく内に原因があるかもしれないと考える
原因が「外(制度や環境)」ではなく、「内(自らの上司としての発言や態度)」にあるかもしれないと認識しておくことが大切です。
メンバーと対話する際、自分自身に原因があるかもしれないと考えているマネジャーは、メンバーに対する問いが変わるはずです。
自分の外に原因があると無意識に思ってしまっているマネジャーはとても多く、メンバーから働き方などの制度や環境に対する不満が出てくると「不満が分かった!」と早合点してしまいます。
しかし、それはメンバーが上司に面と向かって言いやすかった不満で、本当の不満ではないかもしれません。
本当の不満ではないことの解決に取り組んでも、大した変化は期待できません。
② マネジャーとして、できていない行動がないか内省する
メンバーに不満を聞く前に、まずはあるべきマネジャーとしての行動や発言と、自身の言動にギャップがありメンバーの不満になっていないか内省しましょう。
チームの役割や目標をメンバーに周知し、それをブレイクダウンして各メンバーに業務を割り振り、業務遂行のための適切な支援をし、人材を育て、チームとして成果を出すことがマネジャーの役割です。
メンバーへのヒアリングやサーベイ結果をもとに、不満をすべて潰そうと考える方がいますが、すべての不満を解消することがマネジャーの役割ではありません。
不満を潰すことからスタートしなくても、マネジャーとして正しい行動や発言をすることで、チームに在るさまざまな不満や問題が解消されることもあります。
③ 不満を解決してくれる人になってはいけない
上司としては、部下にも一緒に組織を良くするために、主体的に役割を発揮して欲しいはずです。
ところが、上司が「何が悪い?どうしたらいいと思う?」と聞いてばかりだと、部下を傍観者にしてしまいます。
不満のヒアリングだけだと、不満は上司が解決してくれるものだと部下は期待するようになり、当事者意識がなくなってしまいます。
上司は部下に対し、「あなたはどう貢献できるか?」「どのような形なら協力してもらえるか?」という、課題解決のためのチームへの貢献を求める姿勢を忘れないようにしましょう。
部下の本音や不満の聞き出し方
不満を聞くことの落とし穴
メンバーがどのように考えているか、本音を聞き出そうとする姿勢はとても良いことです。
しかし、「不満を聞く」という姿勢はあまり得策ではありません。
- メンバーに直接聞いたところで本当の不満を答えるわけではない(答えやすい不満を口にする)
- 本当はたいした不満がなくても、不満について聞かれると不満を作り出してしまうことがある
- 質問者本人(上司)への不満は聞き出しにくい
例えば、サーベイ結果を元に、上司がメンバーに不満を聞くと、制度や環境への不満は出てきても、上司に対する不満はなかなか出てきません。
面と向かって上司の不満を口にするのは、メンバーにとってハードルが高すぎます。
メンバーが上司に話せる不満は、話しやすいだけで、彼らの中でプライオリティが高くない問題かもしれません。
働きやすさやワークライフバランス、といった環境や制度に関する不満は、本音を聞き出しやすいため不満を聞くアプローチは有効です。
一方で、メンバーの働きやすさが損なわれている原因が、上司の判断や意思決定の仕方、リーダーシップ、チームの仕事の進め方などであれば、漠然と不満を聞いたところでそれらを聞き出すのは難しいでしょう。
本音や不満の聞き出し方|具体例
- 〇〇に課題があるのではと思って、こういうことをやろうとしているんだけどどう思う?
- 〇〇はこういった意図で行っているんだけど、どう感じてる?
- 〇〇ができていなかったと思っていて、こう改めようと思うのだけどどう思う?
- 今回〇〇が低かったのだけれど、自分がチームの役割や目標を発信できていないことが原因だと考えているんだけどどうだろうか?
漠然と「原因」について聞くのではなく、具体的な「行動」や「推察」に焦点を当てた聞き方をすると、上司への直接の批判とならないため、メンバーは答えやすくなります。
また、上司が「自分のこういうところは問題ではないか?」と自らの問題を指摘することで、批判や指摘を受け入れる姿勢が伝わり、部下が質問に応えることへの安心感が生まれます。
部下の本音や不満を確認する姿勢はとても良いことです。
しかし、聞き方を間違えると、本当の課題にたどり着けなくなってしまいます。
部下が言いやすい課題をもとに、優先順位の低い課題解決に努力してしまったり、間違った方向にチームの舵をきってしまうことにも繋がります。
ぜひ今回の内容を参考に、メンバーへの質問の仕方を工夫してみてください。
きっと新しい発見が生まれるはずです。