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一般職のマネジメントの注意点とは?|職制による価値観の違いを理解する

日本企業の多くで使われている「総合職」と「一般職」という2つの職制があります。
一般的に、総合職は「判断力が求められる仕事」「責任が伴う仕事」を担い、一般職は定型業務や総合職の補助的な業務を行います。
仕事内容や責任の違いはもちろんですが、その職制で働く人の仕事観や価値観も大きく異る傾向があります。
最近では従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイを実施する企業が増え、結果を受けて改善に取り組もうとする機運が高まっています。
一方で、アンケート項目は総合職にとって重要な項目でも、一般職にとってはアンマッチな項目もあります。上司が低い項目を改善しようと行動したところ、一般職にとっては逆効果になってしまったというような失敗事例も聞くようになりました。
今回は、一般職の仕事観や価値観の傾向を踏まえ、マネジメントする上での注意点や、従業員アンケートの活用で陥りがちな間違いについて解説します。

目次

一般職の仕事観や価値観の傾向

一般職の方は、あえてその職制を選んだ理由があり、総合職と仕事のプライオリティや重視する価値観が大きく異る傾向があります。
もちろん皆が一緒では有りませんのであくまで傾向ではありますが、違いを認識しておくことで、マネジメントをより効果的に行えるようになります。

一般職の価値観の傾向
  • 人から頼りにされたり、人をサポートできることにやりがいを感じる
  • 同じ仕事を続けても問題ない、仕事内容が変化することがストレス
  • 任された職務に必要であることは学習するが、自発的な学習欲は低い
  • コツコツと一人で行うような仕事が得意、事務仕事にストレスを感じない
  • 同僚との人間関係が仕事のモチベーションに大きく影響する
  • 残業や休日出勤は嫌い
  • 仕事よりプライベートを充実させたい
  • 責任が増えることを望まない
  • 仕事における成長を望んでいない
  • 転勤したくない
  • 転職したくない
  • 変化は好まない
  • 縁の下の力持ち、目立ちたくはない

一般職の従業員アンケート結果の見方|結果を真に受けてはいけない

従業員アンケートの結果を見て、ある項目のスコアが低いと、上司としては「高めなければ!」という気持ちになると思います。
しかし、先に挙げた一般職の方の価値観の傾向を見ると、一般的な従業員アンケートの項目とはズレがあるのが分かると思います。
アンケート結果が低かった項目を高めようとした際に、当の本人はそれを望んでいないという事象が発生してしまいます。

例えば、「能力やスキルの向上」といった項目が低かったとしても、一般職は低いことを問題と思っていない可能性があります。
他の部分でやりがいや責任感を持って仕事をしているという状態が大いにあり得るのです。
また、「やりがい」についても高めるのが難しい項目の一つです。なぜなら一般職の方は仕事にやりがいを求めておらず、プライベートにやりがいを持っていることも多いからです。
向いているベクトルが異なるので、上司が仕事でやりがいを持ってもらおうと思っても難しいことが多く、本人達もそれを問題視していません。
自分の仕事は責任を持ってしっかりやってくれている状態が作れているのであれば、無理に仕事でのやりがいを作る必要はありません。むしろ仕事によりプライベートに悪影響が出ないようにすることの方が、本人のモチベーションを高める上でよほど重要だったりします。

大抵の従業員アンケートは、いわゆるワークエンゲージメントが高い状態を「正」として作成されています。もちろん一般職の方に対してもワークエンゲージメントが高い状態を作れれば一番ですが、現実的にはそこそこが落とし所です。
一般職の方の人生における満足度において、仕事はそれほど大きなウェイトを占めていません。
任された定形業務やサポート業務をしっかり行ってくれており、本人が責任感を持ってしっかり働いてくれているのであれば、例え従業員アンケートで悪い項目があっても、価値観の違いとして問題視しなくても良いのです。
※もちろん一般職の方も望んでいて、改善した方が良い場合も沢山ありますので、ケース・バイ・ケースです。

一般職のやりがいや成長の捉え方は広い

一般的に、「成長」はスキルアップや、できる仕事の幅が広がることと認識されると思いますが、一般職の場合はそれが当てはまらないことの方が多いのが特徴です。
また、成長ややりがいを感じるタイミングが人それぞれ異なる傾向があります。

例えば、下記のようなものが代表的です。

一般職がやりがいや成長を感じる瞬間
  • 今の仕事をより効率的に、短い時間でミスを少なく対応すること
  • チームへの貢献を認められること
  • 気遣いや頑張りに気づいてくれ褒められること
  • 自身の貢献に対し感謝やお礼を言われること
  • ○○さんがいて助かると存在を認められること、頼りにされること
  • 自分のアシストで、自分以外の誰か(営業等)が成果を上げた時
  • プライベートへの配慮など、自分が大切にされていると感じる時

貢献や感謝、存在の承認といったタイミングで自身の成長ややりがいを感じる傾向があります。
つまり、総合職のマネジメントで持っている「成長」の概念にとらわれずに、柔軟に考え、マネジメントする必要があります。
個々の価値観を理解すれば、一般的な「成長」の概念とは異なる形で、成長ややりがいを感じて働いてもらうよう導くことが可能です。一般職のマネジメントでは、特に相手を知ることが重要となります。

一般職のマネジメントで陥りがちな失敗

一般職については、総合職とは価値観や仕事のプライオリティが異なるとお話しました。
次に、上司が良かれと思って行動した結果、失敗してしまうケースをご紹介します。
知っておくだけで防げる内容を取り上げていますので、ぜひ頭に入れておきましょう。

①相手が成長を求めていない、または成長の定義にズレがある

仕事でのやりがいには、成長実感は必要と考えられています。
もちろん、総合職においては当てはまるケースが圧倒的に多く、また会社としても社員の成長を求める必然性もあります。本人にとっても役割の変化や能力の向上により給与が上がり、能力・スキルが向上することでキャリアの選択肢が広がるため、内発的な動機及び外発的な動機両方が存在している状態です。
実際、マネトレユーザーでも、「やりがい」と「成長」はスコアとしてもリンクします。
一方で、一般職にはそうした考えに馴染めないから一般職を選んでいるケースも多く、成長がやりがいに繋がらない(成長を求められるとしんどい)ことがあります。

能力やスキルの向上といった成長に関する項目は一般職では低い傾向があります。
そこでよくある失敗は、仕事がマンネリ化しているからローテーションしよう、新しいことを学ばせる機会を作ろうと意気込んだものの、一般職から総スカンを食らうというケースです。
「成長のため」と業務をローテーションしたり、仕事を変えてみたりすると、ストレスになり、かえってやりがいが低下する事態になりかねません。
先に述べた通り、一般職は変化を望まない傾向があり、そうした立場から見るとただの負荷増大に見えるため、必然性や妥当性がない成長の要求は反発を招くことがあります。

本当に会社として一般的な概念の成長を求めていきたいのか、それともやりがいを持って働いてもらうための一つとして成長を捉え要求しようとしているのか、管理職は考える必要があります。
前者であれば、背景含め丁寧に説明し、コミュニケーションを取りながら成長を求めることへの理解を得ていかねばなりません。反対に後者であれば、無理に成長を求めなくても良くなります。
一般職の方にとっての「成長」は、一般的な「成長」の概念よりかなり広範囲です。他のことで「成長」や「やりがい」を感じてもらうこともできます。

②会社が能力やスキルの向上に対するリターンを提供できない

一般職は、総合職と制度が異なり、能力やスキルの向上に見合う給与や待遇、キャリアの選択肢を会社側が提供できないことがあります。能力やスキルの向上に対する対価を提示できないケースも多いのが実情です。
会社として報いることができず、本人も成長を望んでいない場合、継続的な成長を求められることはただの負担増加になるため、本人の合意を得ることが難しくなります。

会社の制度のような構造的な問題の場合、動機づけをマネジメントだけでカバーすることは非常に難しく、不満や反発を招きやすいためマネジャーは注意が必要です。
こうした状況で会社として成長を求めていくならば、キャリアアップできるような制度変更もセットで検討する必要がありますし、採用する人材の変更や採用段階でのコミュニケーションを変えなければなりません。
現場のマネジメントだけでは対処が非常に難しいケースです。

一般職のマネジメントでは対話をベースに判断を

これまで述べたことは、すべての一般職に当てはまる内容ではなく、あくまで傾向の話です。
私はアシスタントだからと距離を置いて捉える人もいれば、私は組織の一員だからとよりコミットメントを持って仕事に向き合う方もいます。
ただ、一般的には総合職と比べると、一般職の方が仕事のプライオリティが低く、会社より個人(自分)が優先されるため、よりメンバー個々の価値観を理解することが重要になります。
そして、どういったことにやりがいを感じるかは多岐にわたり、総合職と異なることが多いのが特徴です。

一般職の仕事の向き合い方はさまざま
  • ただお金(給与)が欲しい
  • いつか一般職からステップアップしたい
  • 家庭(夫や子供)に影響がでない程度に仕事をしたい
  • 前に出たくない(目立ちたくない)
  • 表彰されたい、認められたい(一般職の中でTOPになりたい)
  • 総合職の手助けをしたい、役に立ちたい
  • 前職で営業や前に出る仕事で疲れたのでバックアップする仕事をしたい

マネジャーは自分が総合職のため、総合職視点での相手の理解は得意ですが、一般職のような自分と異なる職制の方の価値観に対しては考えが及びにくいです。
そのため、相手の理解が抜け落ちたマネジメントをしてしまい失敗してしまうことがあります。
ぜひ今回の内容を参考に視野を広げ、一般職の方のマネジメントを行ってみてください。

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