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承認・称賛の文化醸成|メンバー同士で承認・称賛し合う組織を作る

マネジャーが承認・称賛を行うことは、もちろん大切ではありますが、チームメンバー同士で承認・称賛が自然に生まれる文化は、とても大きな価値があります。
では、メンバー同士で自然に「承認・称賛」が起こる組織をつくるにはどうすればよいのでしょうか?

今回は、チームメンバー同士で承認・称賛し合う文化のつくり方について解説します。

目次

承認・称賛し合う文化づくりの効果

承認・称賛には、人間関係を良化させたり、仕事へのやりがいやモチベーションを高めるといった効果が期待できます。
承認・称賛には、主に2つの効果があります。

人間関係を良化させる(信頼関係を築く)

ダメ出しや指摘ばかりしてしまうマネジャーや、先輩社員をよく見かけます。

欠点や悪い点ばかり指摘するのは、人の承認欲求に反したアプローチです。
つまり、相手にとってはストレスであり、人間関係や信頼に対してマイナスに働きます。

人間関係や信頼関係を築くには、欠点や悪い点ばかり指摘するのではなく、良い点を意識して見つけて良いと認めることが大切になります。

また、「挨拶をする」「名前を呼ぶ」「顔を見て話す」「返事をする」「感謝を伝える」なども軽視できません。
これらは存在承認と呼ばれ、承認欲求より低次の社会的欲求(帰属意識)に影響します。

「挨拶をしない」「返事をしない」などは、相手を無視する行為になり、一緒に働く仲間という帰属意識を持てなくなります。
挨拶がない職場、挨拶が適当な職場の空気はたいてい悪く、メンバー同士で承認・称賛する雰囲気もないのはこうした背景があります。

仕事へのやりがいやモチベーションを高める

承認・称賛は、やりがいを実感するタイミングになったり、内発的動機づけをするために必要な要素となります。

内発的動機づけは、人の内面に沸き起こる意欲による動機づけです。
評価や金銭、賞罰といった外発的動機づけと比べて、内発的動機づけは長続きすると言われています。

内発的動機づけには、「自律性」「有能感」「関係性」の3つが大事とされています。(自己決定理論)

  • 自律性:自分の行動を自分自身で決めること(↔︎やらされ感)
  • 有能感:自分は能力があって優れているという感覚(≒自信)
  • 関係性:他社との精神的な繋がり(≒相互信頼関係、一体感)

細かい進め方まで指示を出す、指摘やダメ出しばかりする行為は、自律性や有能感を感じにくくします。

一方で、承認・称賛により、褒められた、認められたというのは有能感を高めます。
自分の仕事ぶりをちゃんと見てくれている、自分の考えを認めてくれている、と伝わるため、関係性(信頼関係)も高まります。

このように、承認・称賛は、内発的動機づけに効果的で、仕事へのやりがいやモチベーションを高める効果があります。

メンバー同士の承認・称賛がもたらす効果

承認・称賛の効果は、マネジャーかメンバーかという役職で変わるものではありません。
承認・称賛は、それを行う人に対して好意をもつようになる心理(好意の返報性)により、人間関係を良化させ、チームの一体感を高めます。

また、相手に対する信頼関係の深さにより、承認称賛の効果は変わってきます。
信頼する人の意見は素直に聞けるのに、信頼していない人の話は響かないのと同じです。

メンバー同士の信頼関係が高まっていけば、お互いの承認・称賛で「動機づけされる力」も強まる良いスパイラルが生まれます。

マネジャーがメンバーに承認・称賛を行う場合、マネジャーとメンバーの間での信頼関係は高まっていきますが、メンバー同士(同僚)の関係には直接プラスに働きません。
マネジャーのみの活動では限界があり、メンバー同士が承認・称賛し合う文化をつくることが、より良いチームづくりのカギになります。

承認・称賛文化のつくり方

「文化」は、勝手に出来上がるのもではなく、意図して作り上げるものです。
承認・称賛の文化を作っていこうと思った時にぶつかる一番の壁は、組織の「慣性」です。

これまで互いに承認・称賛し合うということをしてこなかった組織では、しないことが当たり前となっており、力を加えない限りいきなり変わったりはしません。
初めの動き出しのタイミングにはエネルギーが必要です。

しかし、承認・称賛し合うチームの習慣ができれば、今度はそれが当たり前になります。
マネジャー自身がきっかけとなり、習慣化まで継続させる方法を考え実行していきましょう。

①マネジャー自身が率先垂範する

まず第一に、マネジャー自身が率先して承認・称賛を行うことです。

上司がやっていないのに、部下にやれというのはおかしな話です。
まずは自分自身が率先して、褒める・認めるコミュニケーションを増やしていきましょう。

②メンバーが承認・称賛する場づくり

メンバーに「承認・称賛をしよう」と伝えるだけだと、変化は起きません。
これまで承認・称賛をしないのが当たり前だったので、「どんなことを褒めれば良いのか?」「こんな小さなことを褒めていいのだろうか?」といった躊躇する理由が浮かび、変化を止めてしまいます。

変化を生み出すためには、全員が「意識的に」承認・称賛を行う場を設定しましょう。

意識的に承認・称賛を行う場づくりの例
  • 朝礼やチームミーティング内で良い事例を共有し、承認・称賛する時間を設ける
  • チームのチャットで、良い事例を共有し、他メンバーが反応する(いいね!やコメント)
  • サンクスカードを用意し、良いと思った相手に渡す
  • 「承認・称賛月間」「ありがとうキャンペーン」など、イベント化して意識づけを強化する

影響力のあるメンバーを巻き込む

チーム内で影響力のあるメンバー(後輩指導をしている中堅や、ムードメーカーなど)に、目的や意図を伝えて巻き込み、フォローアップしてもらえるようにしておくと推進しやすくなります。

依頼するメンバーを多くすると、責任が分散され、全員がやらなくなってしまう可能性があるので、こうした組織の慣性に逆らう変化を起こす際は、影響力あるメンバー1,2名を選定して協力を仰ぐのが得策です。

また、メンバーが行う承認・称賛に対して、マネジャーが必ずリアクションするようにすると、行動が強化されます。
習慣化するまでは、マネジャーが積極的に関与し、取り組みを盛り上げるようにしましょう。

④できない理由を潰しこむ

よくあるできない理由は以下のようなものです。

・褒めるポイントが見つからない
・こんな小さなことでも褒めていいのか?という線引きで悩む
・うまく褒められない(褒め方のバリエーションが少ない)

結果が出ていない場合でも、プロセス(過程)や行動、意識など何かしら良い点はあるはずです。
褒めるという言葉がハードル高く感じるようであれば、相手の良い点を率直に良いと伝える意識にすると、承認・称賛しやすくなります。

こうした褒める際に躊躇してしまう点について、マネジャーは巻き込みたいメンバーにアドバイスすると良いでしょう。


メンバー同士で承認・称賛し合う文化を作ることで、チームの関係性がよくなり、互いにやりがいやモチベーションを高め合う良いチームにしていくことができます。

今回ご紹介した方法は、承認称賛以外でも、新たな組織文化をつくる際に応用ができます。
これまでの悪しき組織文化に懸念をお持ちであれば、ぜひ組織文化の改善にトライしてみてください。

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