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部下から信頼されない上司の特徴|信頼を築くための伝える力

上司が部下から信頼されない理由は、単なるコミュニケーション不足だけではありません。
本コラムでは、1万件以上の従業員アンケートから分かった信頼されない上司の特徴について解説します。
信頼される上司になるためのヒントを学び、チームのパフォーマンスを最大限に引き出しましょう。

目次

部下に信頼されていない上司に共通すること

メンバーからの「上司への信頼」が低いケースでは、さまざまな要因が考えられます。
マネトレ(2023年3月にサービス終了)利用者の1万件以上のデータを分析する中で、ある共通の特徴が見えてきました。

課長でも、部長でも、あるいは業界や職種が異なっても、「上司への信頼」が低い組織に共通していたのは、目標や目的、背景などが部下に明示されていない(伝えていない)という点です。

やるべき事は指示します。
しかし、メンバーからの信頼が低い上司は、チームや個人の目標・目的、指示の背景を伝えていません。

「なぜやるのか?」が分からなければ、部下は納得できず不満が溜まっていきます。
一見当たり前のように思えますが、当事者である上司は、サーベイの結果を見るまで、ほとんどのケースで自覚症状がありません。
上司が指示を出せば皆が従ってくれているため、部下の不満は見えにくいからです。

そして、部下の方から「なぜですか?」となかなか上司に突っ込めない企業風土や、目上の人にモノが言いにくい日本人の文化によって、放っておくと問題はさらに悪化します。
メンバー同士で影で不満を言い合うようになり、不満がさらに増幅されるスパイラルになってしまいます。

部下からの上司への信頼は、マネジメントの土台となります。
信頼がなければ、他のどんな良い行動も効果を十分に発揮できなくなります。
サーベイ結果で上司への信頼が低いチームでは、仕事のやりがい、成長実感、評価への納得など、さまざまなスコアも連動して低くなることが分かっています。

信頼されていなかった上司の事例

とある上場企業で、下記のような事例がありました。
その組織では、部長に対する評価が悪く、メンバーは不満を抱えていました。
ところが、部長はサーベイの結果を見て驚きました。
部長は、モチベーション高く仕事に取り組み、的確に指示を出していたつもりだったのです。
どうしてこのようなギャップが発生していたのでしょうか?

その部署では、部下が最終承認を取るために上げた内容を、部長はほとんどのケースで何らかの修正を指示していました。
部長が毎回修正を指示するので差し戻しとなり、納期に余裕もないことから、メンバーは残業して間に合わせる形になっていました。
メンバーは毎回修正を指示する部長の意図が分からず、意味も分からない仕事をさせられることに大きなストレスを感じていました。
しかし、部長にモノを言うことはできず、口に出せない不満が蓄積していたのです。

部長は課長の話を聞くものの、納得してもらうための対話はせず、修正の指示や自身の意図だけを伝えていました。
対話がないため、課長は部長の考えに納得しておらず、結果メンバー意図や背景が伝わることもありませんでした。
最終的に誰もが部長に対し諦めてしまい、不満を抱えながら、お互いに愚痴を言い合い、指示をこなしていたのです。

これは、部長という立場でメンバーを従わせているだけで、マネジメントができていなかったケースです。
従ってくれていることと、納得して行動していることでは、雲泥の差があります。

今回であれば、下記のような行動が部長には必要でした。

  • 変更の目的や背景を課長に伝え、納得してもらうための対話をする。
  • 課長に対し、メンバーに修正の目的や背景を伝えるように指示する
  • 最終承認段階での修正とならないよう、業務フローを変更する。
  • 判断基準を言語化し、課長も同じ判断ができるように育成する

なぜ目的を伝えることが大切なのか

目標を伝えなければ、そもそも部下は何をすればいいのか分かりません。
そのため、目標やタスクを明示することは、ほとんどの管理職が行っています。

ところが、目標やタスクの「目的」や「背景」を伝えるという行為を、管理職はおろそかにしがちです。
わざわざ伝えなくても、メンバーは分かっているだろうと思っていたり、メンバーは納得していないのに、伝えて終わりになっていることも多いです。

メンバーの不満を上司は自覚しにくい構造があります。
目的や背景を伝えなくても、上司は立場によって人を従わせてしまうことができてしまうからです。

組織運営の中で意見の違いが発生するのは当然です。
上司の判断の方が正しいことの方が多いでしょう。
しかし、正しかろうと、上司と部下のすれ違いを放置していると、メンバーの不満は溜まっていきます。

また、目的が分からず、やるべきことだけが振られると、メンバーはやらされ感が強くなります。
人は目的や背景が分からなければ納得できません。
納得できないことに対し主体的に行動することは難しく、指示待ち型の人材をつくることにも繋がってしまいます。

仕事を指示する際に伝えるべきこと

仕事を指示する際に伝えるべきこと
  1. 目的:その仕事を「なんのためにするのか?」
  2. 背景:「なぜ」やらなければならないのか?

「目的」を説明し、メンバーが理解してくれれば、目的を実現するために自分で考え、主体的に仕事に取り組んでくれる可能性が高まります。
「背景」を伝えれば、仕方ない、やらなければならない、とメンバーが納得してくれる可能性が高まります。

背景は毎回伝える必要があるとは限りませんが、先の事例のような急な変更や残業など、メンバーに負担を強いる場合は伝えるべきです。


日本企業の多くでは、部下は上司にモノが言いにくく、納得していなくても指示に従う状況があります。
部下から積極的に目的や背景を聞いてくることを期待してはいけません。

上司が自発的に目的や背景を伝えないと、部下には伝わりません。
目標やタスクの「指示」に偏りがちと思った方は、さっそく「目的」や「背景」を伝えることに取り組んでみてください。

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