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組織改善のステップ|チーム作りは何から着手するべきか?

組織診断や従業員満足度調査など「サーベイ」は多くの会社で活用されています。
一方、せっかくメンバーに回答してもらっているのに活用できず、「やりっぱなし」になっているという企業・組織が少なくありません。
サーベイは現状を把握するものであり、サーベイをとっただけでは組織は良くなりません。結果をもとに、改善を行っていく必要があります。
今回は、組織改善を進めるにあたって「何から着手すべきか」について解説します。

目次

組織改善の考え方|改善PDCを回し続ける

大前提として、日々メンバーと接しているマネジャーが、課題に感じたことをメンバーのために改善しようとして、逆効果になることはほとんどありません。
気づいた課題を1つ1つ解決していけば、組織は徐々によくなっていきますので、改善PDCを回すことが何より大事です。

一方、課題には様々な特徴があります。
例えば、メンバーの満足度への影響では「ないと不満を抱く項目(衛生要因)」「あると満足に思う項目(動機づけ要因)」という分類ができます。
これを理解しておくと、メンバーの仕事へのモチベーションを高めたいと思うなら、達成や承認など動機づけ要因に取り組むべきなど、より効果的な改善に取り組めるようになります。

衛生要因と動機付け要因_フレデリック・ハーズバーグ:二要因理論

改善するマネジャーの視点では、先に別の課題をクリアすることで改善しやすくなる項目、直接高めることが難しく複合的なアプローチが必要な項目など、課題毎に特徴があります。

組織改善の5ステップ

STEP1:メンバーとの信頼関係を構築する

まず、第一に考えるべきは、マネジャーとメンバーとの信頼関係構築です。
メンバーから信頼されていなければ、改善どころか業務の依頼もままなりません。
信頼がない中で無理にメンバーを動かそうとすると、役職のパワーを使った動かし方になり、パワハラと感じられてしまうリスクもあります。

信頼関係は、マネジメントの土台であり、まず最初に取り組むべき課題です。
サーベイで上司に対する項目が高くない場合や、メンバーが思うように動いてくれないと感じる場合は、信頼関係がきちんと築けているか内省してみてください。
(参考)信頼とは?|マネジメントのベースとなるメンバーとの信頼の築き方

コミュニケーションなしに信頼関係は築けません。たとえテレワークだとしても、テレビ会議などで話す機会が必須です。
メンバーとの信頼関係を築くには、いくつかのポイントがあります。

  • マネジャー自身が自己開示する
  • メンバーを理解しようと努める姿勢
  • 感情のコントロールとブレない判断軸
  • メンバーの意見を汲み、変化を作り出す影響力 など

メンバーと定期的にコミュニケーションをとる機会を設定し、最初はコミュニケーション量を意識してみてください。
何を話せば良いか悩む場合は、1on1の質問集を参考にしてみてください。
(参考)1on1ミーティングのやり方|質問集と継続のポイント

STEP2:環境・人間関係の不満を把握する

互いの理解を深め、信頼関係の土台ができたら、次は、働く環境や人間関係に関する不満を把握します。
マネジメントでは、マネジャーからメンバーに依頼・指示をする場面が多く、コミュニケーションが一方向に偏りがちなので、この「不満の声を聞く」というプロセスはとても大事です。
人それぞれ価値観が異なるため、人間関係が悪い、残業が多い、休みが取りづらい、フレックス制度がない、テレワークできないなど、メンバーは実に様々な不満を持っています。
解決できそう、できそうにないというのはひとまず考えずに、メンバーの不満の声を聞いてみてください。

把握した不安は、「マネジャーで解決できるもの」「マネジャーだけでは解決が難しいもの」に分類します。
そして、まずはマネジャーで解決できるものの中から1,2個解決しやすい課題を早期に解決してみてください。
早い段階で小さな成功を積み重ねること(アーリースモールサクセス)で、メンバーからの信頼を高めることにつながります。

マネジャーだけでは解決が難しい課題も、そのまま放置していてはいけません。
短期での解決は難しいとしても、上司や人事などに掛け合うなど、きちんと改善しようとする姿勢を伝え、中長期で改善に取り組んでみてください。
結果として改善されればベストですが、仮に改善が難しかったとしても、叶えようと動いてくれたことにメンバーは好感を持ちます。
実際に改善に動いていることは、メンバーから見えていないことが多いので、「人事と話す機会があったから伝えてみたよ」など、経過を伝えるのも効果的です。
(参考)働きやすさとは|チームの働きやすさを高めるマネジメント方法

STEP3:目標管理・業務管理の改善

メンバーの不満を把握し、大きな不満に対処できたら、次は目標管理・業務管理の改善です。
会社のミッションや戦略から落とし込んだ自組織の役割・目標を明示し、メンバー1人1人の目標設定を行う。設定した目標を日々の業務でも意識させ、評価のタイミングではきちんと評価を伝える。
このサイクルがきちんと回せるかどうかが、マネジャーの腕の見せどころです。

  • 目標設定をしていない(形骸化している)
  • メンバーが考えた目標設定が、会社や組織の方向性とズレている
  • 目標設定のすり合わせをしたが、メンバーが納得していない
  • 設定した目標を日々意識させることができてない
  • 会社からの評価に納得していない

上記で当てはまるものがある場合は、「組織の役割や目標を明示する」「目標設定と評価を連動させる」「目標設定や評価に対してきちんとフィードバックする」などの改善アクションを実行してみてください。
(参考)マネジャーに求められる情報伝達とは|役割や目標を明示することの重要性
(参考)目標設定とは?|部下のやる気を引き出す目標設定のやり方
(参考)評価のマネジメント|評価に対するメンバーの納得感を高める

STEP4:メンバーの動機づけ・成長支援

目標設定や評価も、メンバーの動機づけや成長支援に必要な要素ですが、多くの会社で半期や四半期に1回の実施のため、動機づけや成長支援の機会としてこれだけでは不十分です。
日々の業務の中で、メンバーを動機づけし、成長を促していきましょう。

大きく分けると、①仕事を任せるタイミング、②業務進捗を確認するタイミングの2つのタイミングがあります。

① 仕事を任せるタイミング

新しい業務や役割をメンバーに任せる際、その伝え方ひとつでメンバーのやる気や業務効率に大きく差が出ます。
「いつまでにこれお願い!」と納期だけ伝えるのではなく、「あなたに依頼したい理由」「期待」「背景や目的」をきちんと伝えるようにしてみてください。
(参考)部下への仕事の任せ方|業績達成と育成を両立させる「アサインメント」の方法

② 業務進捗を確認するタイミング

業務の進捗確認は、週次の1on1で確認、メンバーから報連相させて把握、仕事ぶりを隣で見て把握など、マネジャーそれぞれのやり方があると思います。
方法は組織やメンバーにあった方法で構いませんが、意識すべきは「フィードバックの頻度」と「指摘だけでなく承認・称賛もできているか」です。
業務の改善点の指摘はもちろん必要なのですが、悪い点の指摘ばかりされるとうんざりします。
フィードバックでは、間違った進め方や改善点に意識が向きがちですが、動機づけのためには「良い点を見つけて承認・称賛する」ことが大事です。

承認・称賛はメンバーの成長実感にも影響します。
成長を感じるタイミングは人それそれですが、成果が出たタイミングだけでなく、承認・称賛により「できるようになった」と実感したり、「次もうまくできそう」というポジティブな感情(自信を持つ)ことで成長を実感するメンバーもいます。
成果が出たときに褒めるだけでは頻度が少なくなってしまうため、以下で解説している「5つの承認ポイント(結果・プロセス・行動・意識・存在)」を活用してみてください。
(参考)承認・称賛のマネジメント|部下のやる気を引き出す承認と称賛の使い方

STEP5:チームの生産性向上・イノベーション

STEP1~4の改善を進めると、メンバーとの信頼関係を土台にして大きな不満に対処し、役割や目標を意識して仕事に動機づけされた組織になってきます。
この状態を作れた時が、組織としてさらに高い成果を追求したり、イノベーションを起こすことにチャレンジしたりと、組織を進化させるタイミングです。

メンバーが経験を積み、業務スキルが習熟してくると、個人レベルの工夫や改善では成果が大きく変わらなくなってきます。
高い成果を出し続けていくには、現状に満足せず、既存のやり方を一度壊して再構築したり、全く新しいやり方を試したりと、挑戦を続けなければなりません。

ここで重要なのが「心理的安全性」です。
Googleも、効果的なチームの特徴を明らかにするための大規模なリサーチプロジェクトにて「心理的安全性がチームの効果性を高める重要な要素」と結論づけています。
単に人間関係が良く安心できる状態ではなく、「チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」を指します。

新しいことへのチャレンジには失敗がつきものです。
新しい意見を出し合う際に、検討外れな意見を出してしまうこともあるでしょう。
そんな場面で、誰かから否定されたり、非難されたりすると、新しいことにチャレンジしようとする気持ちが削がれます。
逆に、馴れ合いで誰も指摘をしない状況では、議論は前進せず、良いアイデアは生まれません。
目的に従って互いに要求し合い、新しいチャレンジを歓迎する組織風土を作ってみてください。
(参考)強いチーム作りに欠かせない、心理的安全性を高める際に必要な3つの前提

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