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「反対意見を出すなら代案もセットで」は正しいのか?|反対意見がないのは良いチーム?

「反対意見を出すなら代案もセットで」というルールは、実際にはチームの活力を奪うことがあります。
なぜなら、このルールは議論の質を低下させ、メンバーが意見を出しにくくなる可能性もあるからです。

本コラムでは、反対意見の重要性と、それを建設的にチームに価値ある形で引き出す方法について解説します。
反対意見を効果的に活用し、チームの生産性を向上させるためのヒントを学びましょう。

目次

反対意見を出す際に代案を求める意味

誰もが、自分の考えに一致しないと何でも反対する上司、部下に遭遇した経験をお持ちと思います。

話を前に進めたい人からすると、反対だけして代案を何も出さない人は、鬱陶しいことこの上ありません。

代案を考えるのは難しいですが、ただ反対するだけならとても簡単です。
代案なき反対は議論を停滞させます。

「反対するなら代案はセットで」というルールや考えを共有しているチームでは、安易な反対がなくなるため議論がスムーズです。
反対意見であっても、代案が含まれるため建設的に議論を進めていくことができます。

代案なき部下はマネジャーにとってやっかいな存在

代案がある部下の反対は上司にとって貴重です。
一方で、代案はないけれど反対する部下は、上司にとってはやっかいな存在です。

マネジャー「今月の商談を増やすために、サイトを訪問してくれた顧客に電話をしよう。」
部下「サイト訪問くらいの顧客に電話をしても無駄だと思います。」
マネジャー「それはどうして?」
部下「サイト訪問くらいではまだ顧客のニーズは浅いです。効率が悪い。」
マネジャー「ではどうしたら商談を増やせるかな?」
部下「どうしたらいいかは分かりません。ただ、意味がないと思うんです。」

こんな場面に遭遇したら、「もっと主体性を持ってくれ」「評論家になるな」とイライラして怒ってしまうマネジャーが多いのではないでしょうか。
マネジャーが「反対するなら代案を出せ」と言えば、メンバーは代案を考えたり、納得がいかないながらも黙って従うでしょう。

「反対するなら代案もセットで」というルールは、安易な反対や停滞を防ぐことに力を発揮します。

代案がなければ反対できないことによるデメリット

チームにとって、反対意見が出ることは必ずしも悪いことではありません。
実は、代案がなくても反対ができるという状態は、よい面もあるのです。

代案なき反対を許さない状態がいきすぎると、チームにとって不都合なことが起こります。
本当に善意で「やめた方がいい」「もっといい案があるはず」と、メンバーが感じた違和感が放置されてしまう点です。

例えば、会議でプロジェクトの進め方について発表者からある方向性が示されました。

マネジャー「それでは、前回と同じA社で進めようと思います。」
Bさん「ちょっといいですか。」
マネジャー「なんだい?」
Bさん「今回のプロジェクトは、A社にすべて任せるのは違う気がしています。今回の趣旨からすると、もっと良い方法があるのではないでしょうか。」
マネジャー「具体的にどうしたらよいと思う?」
Bさん「すみません。分かりません。ただ、もっと良い方法があるんじゃないかと。。もう少しみんなで考えませんか?もし何もよい案が出なかったらA社に任せるという形で良いと思うので。」
マネジャー「わかった。みんなどうかな?」
Cさん「確かに今回のプロジェクトなら、A社に全部任せてしまうのではなく、もう少し自分たちで運用して改善スピードを上げた方がいい気がします。リソースが問題ではありますが。」
マネジャー「リソースか、、Dさんにも協力をお願いすれば、ある程度自分たちでできるかもしれないね」

もし「反対するなら代案もセットで」というルールが徹底されていたら、Bさんが感じた違和感は表明されることはありませんでした。

違和感を取りこぼしたことにより、「より良い代案」にたどり着くチャンスを失っていたはずです。

「反対するなら代案もセットで」というルールにより失うのは下記のような点です。

・善意からの反対や違和感を見逃す
・集団の知が機能せず、より良い代案が生まれない

集団の知が機能しにくくなることに注意が必要です。

間違いに気づいたり、違和感を感じることより、代案を考えることの方がはるかに難しいです。
反対を表明した個人では代案までたどり着けないけれど、チームという集団の知でならたどり着けることがあります。

「反対するなら代案もセットで」が徹底されると、集団の知が機能しない場面が生まれてしまいます。
それは、チームとして大きな損失です。

前向きな反対意見を引き出すための3つのルール

マネジャーとしては、代案のない反対意見や否定的な意見ばかりの状態を放置するわけにはいきません。

そうした場面で必要なのは「前向きな反対意見」なのか、「後ろ向きな否定・単なる批判」なのか、を見極めることです。

前向きな反対意見を引き出すには、発言者の発言の仕方が重要になります。

反対意見を表明する際に必要な3つのルール
  1. 反対する際に、相手の意見を全否定しない
  2. 前向きな決断としての反対であることを示す
  3. 一緒により良い代案を考える姿勢を示す

先の事例のBさんは、上記3つのポイントをしっかり抑えていました。

この3つのルールを守れば、単なる批判や否定でなく、前向きな反対意見を伝えることができます。
前向きな反対意見では、議論の不毛な停滞は起こりません。

マネジャーは、この3つのルールを守れば反対意見を表明して良いとメンバーに理解させること、ルールに則った発言には耳を傾けることが重要になります。


代案のない反対意見はたしかに議論を停滞させます。
批判や否定ばかりして、建設的な意見を言わない人もいるでしょう。

しかし、全て一律で「代案なき反対」を否定しては、必要な反対意見を黙殺してしまいます。
反対意見を出すなら代案もセットで」は、ほどほどにした方が賢明です。

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