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短期間での引き継ぎにどう対処する?|急な異動を命じられたら

会社員をしていると急な異動を命じられることは珍しくありません。
人事異動の時期には引き継ぎをどうするかで悩まれるマネジャーも多いようです。
今回は、実際にあった相談に答えながら、短期間での仕事の引き継ぎ方について解説します。

目次

急な異動で1ヶ月での引き継ぎを命じられたマネジャーからの相談

マネジャー

急な人事異動を言い渡され、7年間務めてきた仕事を1か月で引き継げと言われました。
さらに、後任マネージャーは無し。
メンバーへの伝え方、仕事の分担の仕方など、アドバイスをいただきたいです。
メンバーのモチベーション維持、向上させることを第一に引継ぎをしていければと思っています。
また、今回の異動は転勤となるため、家族が転居を拒んでいます。家族との関係性を維持するコツもあれば知りたいです。

異動や引き継ぎについてのメンバーへの伝え方

「後任マネジャーがいない」というような難しい引き継ぎの場合、メンバーへのマイナスの影響として、主に下記が想定されます。

  1. 誰が対応できるのか不透明になることによる「不安」
  2. 業務量が増えることによる「不満」

上記を可能な限り解消することを、意識して進める必要があります。
また、「どうして自分が人事異動となったのか」「なぜ急な人事異動となったのか」この辺りはきちんと上司に確認し、メンバーにも共有できる部分は伝えるようにしてください。

マネジャーからきちんと異動や引き継ぎの背景を伝えないと、下記のような勘違いを招く恐れがあります。
・以前より知っていたのにメンバーにはギリギリまで伝えていなかった
・後任もいないし今の自分達の仕事は会社から重要と思われていない

このようにメンバーに受け取られ、マイナスな噂話が広まると、引き継ぎがうまくいかなくなります。
可能な限り、仕方なさや納得感があるポジティブなストーリーを考え、メンバーに伝えてください。このストーリーは組織に残る上司とも、共有や相談をしておいた方が無難です。
メンバーが個々に解釈する余地をなるべく少なくし、納得感のある共通見解を持てるのがベストです。
その上で、具体的な引き継ぎを進めていきましょう。

仕事の分担、仕事の渡し方

ご相談には、「メンバーのモチベーション維持、向上させることを第一に引継ぎをしていければ」とありましたが、引き継ぎのタイミングからでは、期間が短いためモチベーションを高めるのは困難です。
すでに仕事へのモチベーションが高い人に期待や成長とセットで任せる。
そうでない人は、「不満」にならないように丁寧なコミュニケーションを取りながら、任せる内容を個々で臨機応変に考えるのが現実的です。

また、メンバーに発生する「不安」に対する対処が必要です。
不安は心理的に全体では吐露しにいため、マネジャーが個別不安を拾い、その不安を解消できるように努めましょう。マネジャーがいなくなった後に使える、何らかの手段を準備する必要がでてくるかもしれません。

最も注意すべき点は、「メンバーとコミュニケーションを取る前に、引き継ぎの分担をマネジャーが決めてしまって落とさない」ということです。

異動、特に後任もいないような状況では、自分たちはないがしろにされているのではないか? 会社は自分たちの業務に重きを置いていないのではないか? 業務負担が増えて忙しすぎる!といった、メンバーの「不安」「不満」はどうしても発生しやすくなります。
そのため、きちんとメンバーとコミュニケーションを取る前に、「決まったもの」として引き継ぎの分担を落としてしまうと、メンバーは反発を抱きます。
マネジャーが考えた引き継ぎの分担で進めても構いませんが、順番としてメンバーの意見や考えを受け止めた上で考えた形に、少なくともメンバーに対してはすべきです。
そうしたステップを踏んだ方が、メンバーも納得や仕方ないと受け入れてくれやすくなります。

引き継ぎ期間は短いから悪いわけではない

引き継ぎ期間については、あまりプレッシャーを感じないでください。
引き継ぎは、仮に2ヶ月あったら、結局2ヶ月目にならないと引き継がれる側が自分事にならず身が入らないものです(どうしても前任に甘えてしまう)。
量に関わらず、1ヶ月であれば1ヶ月で終わるし、3ヶ月だったら3ヶ月かかる。引き継ぎはそういうものなので、引き継ぐ「期間」が問題となることは実際はほとんどありません。
転職の際に、引き継ぎ期間が短すぎると会社から言われて退職日を伸ばしたのに、結局引き継ぎが進んだのは最後の1ヶ月だけだった、引き継ぎ期間が余って暇だった、というのはよくある話です。

また、今回の急な人事異動に対して、会社からすると「6年もいたんだからあなたがいなくてもチームが回るように普段から人材育成をしておくのがマネジャーの役割でしょう」と、考えている可能性があります。
この点は確かにその通りではあるのですが、現実問題なかなか難しいケースもあり、モヤモヤする気持ちもあるかと思います。
しかし、人事異動による会社からの短い期間での引き継ぎ要求に対しては、引き継ぐ本人は気持ち的に割り切るしかありません。

転勤に対する家族との関係をどうするか

人間関係における問題の多くは、何かの出来事によって表出しますが、そうした問題を乗り切るには問題が起こる前からの対応が鍵になります。
つまり、問題が起こってから対処するのは非常に難しいです。
今回であれば、普段から転勤の可能性を家族は認識していたか?転勤となる場合に、家族で移動することに合意していたか?こうした会話が抜け落ちていた場合、1ヶ月と短い期間で合意まで至るのはとても難しくなります。

子供は、友達がいるその土地を離れることにほとんどの場合反対しますが、実際に転勤して新しい友だちができれば何の心配もいりません。もちろん新しい友だちができるまで、気をかけてやる必要はあります。
子供にとっての転居は、地元と呼べる場所がなくなってしまうというデメリットはあるものの、環境が変わっても生き抜く能力が身についたり、学校が変わり新たな友達との出会いというポジティブな面もあります。

一方で、大人である奥様は、転居することで自然に得られるメリットは少なく、新しい環境に慣れる、友人を作る負荷の方がはるかに大きいと感じるはずです。

異動を受け入れる、異動を拒否する、転職する、単身赴任、家族を説得する、一旦単身赴任し遅れて家族は合流するなど、色々と選択肢はあります。
子供や奥様でそれぞれに負担が異なることを理解しつつ、最大限家族が一緒に暮らせるように話し合っていただければと思います。

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