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マネジメントには、なぜ「誠実さ」が必要なのか?|「誠実さ」の高め方


マネジメントを行うには、前提条件としてマネジャーが人として信頼されている必要があり、「誠実さ」は無くてはならないものです。

今回は、マネジメントに誠実さが必要な理由と、その高め方について解説します。

目次

「誠実さ」の低下が招く、マネジメントへの悪影響

誠実とは、「私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること」です。

「誠実さ」は、人として信頼できるかどうかの判断ポイントになります。
人は、信頼できない相手、信頼できるか分からない相手の話を素直に聞くことができません。

上司の誠実さが低い、と思われている状態は、メンバーとの信頼関係が十分に構築できていない状態です。
信頼関係はマネジメントの土台です。

信頼が損なわれると、メンバーはマネジャーに対して批判的になり、マネジメントが機能しなくなります。
また、長く放置してしまうと、批判的な関係性が固定化され、関係修復が困難になってしまいます。

誠実さが低い(信頼されていない)ことが招く悪影響
  • 対話の際に、なかなか心を開いて本音で話してくれない
  • チームの方針に対して、批判や反発が増える
  • 依頼や指示をしても、素直に対応してくれない
  • チームをより良くしようとする活動に対しても協力が得られない
  • 会社やマネジャーに期待しなくなる(離職率が高まる)
  • メンバーの愚痴や不満の声が増える   など

「誠実さ」を低下させる要因

メンバーは、マネジャーの普段の言動から、無意識レベルで信頼できる人かどうかを判断しています。
初対面の相手を信頼できるかどうかすぐ判断できないように、「誠実さ」や「信頼」は時間をかけて構築されていきます。

たとえば、従業員サーベイで誠実さや信頼が低いスコアとなった場合、以下チェックポイントが満たせているか、自身の言動を振り返ってみてください。

誠実さや信頼に関するチェックポイント
  • 人として尊重した態度でメンバーと接しているか
  • メンバーの意見や考えを聴く姿勢を持っているか
  • マネジャー自身がメンバーを信頼し自己開示しているか
  • 意思決定に判断軸があるか(感情や上司の意見に流されないか)
  • 発言や判断に一貫性があるか(言うことがコロコロ変わらないか)
  • 自分のミスや誤りを素直に認められるか
  • 発言に嘘や偽りがないか
  • 言葉遣いが横柄ではないか
  • 約束を守っているか
  • 仕事中と仕事後で発言は一貫しているか(たとえば飲み会での発言にも注意を払えているか)
  • 上司という役割責任を権威と勘違いし、高圧的な態度をとっていないか

「誠実さ」を高める方法

誠実さや信頼は、一瞬で失墜することはあっても、一気に高まることはありません。
ある程度時間がかかる(時間をかけて築いていく)ことを覚悟しましょう。

①すぐに改善に取り組む

メンバーからの信頼を得られないと、マネジメントが機能せず、組織をより良くしようとする活動も前に進みません。
また、関係性や評価は時間とともに固定化するため、チーム組成から時間が経てば経つほど修正が難しくなります。

「誠実さ」を高めるために、すぐにリーダーとしての発言、行動を振り返り改善することが重要です。

チーム組成タイミング

新しくチームを組成したタイミングは、互いを理解しあい、信頼関係を構築するのに適したタイミングです。

メンバーも、新しい上司はどんな人か、同僚と良い関係が築けるかなど、不安を感じながら過ごしています。
お互いを知るための1on1ミーティングや、チームの懇親を目的としたランチ会などを行うと効果的です。

メンバーを理解しようとする、チームの関係性を良くしようとする姿勢が伝わり、マネジャーに対する信頼や、協力しようとする気持ちを高めます。

チーム組成初期は、チームの戦略や方針を考えたり、業務割り振りや目標設定をしたりと、やることが山積みで、ついついメンバーとのコミュニケーションを疎かにしがちです。

しかし、最初の1ヶ月が大事です。

その時期にコミュニケーションをとっておかないと、メンバーに関心がない、大切に思ってくれないという印象を与えてしまいます。
一度マイナスの印象が定着してしまうと、回復させるために多くの時間を要します。

チーム組成初期にメンバーとコミュニケーションをとり、互いを理解することは、その後のマネジメントを楽にします
長期でみるとマネジメント効率が圧倒的に高まります。

チーム組成タイミングは忙しい時期ではありますが、積極的にメンバーとコミュニケーションを取りましょう。

チーム組成から3ヶ月以上経過している場合

メンバーとの付き合いが長ければ長いほど、「●●さんはこんな人だ」と印象が固定化していきます。

これまでのチームでの関わりの中で、あの時こんな判断をした、こんな振る舞いをした、こんな発言をしたなど、さまざまな言動を踏まえ、時間をかけて構築されたマネジャーの印象です。

こうしたケースでは、マネジャーが2,3ヶ月、心を入れ替えてメンバーと接するだけでは、本当に変わったのか、ただの気まぐれなのか、メンバーは判断できません。

しかし、中長期でそうした態度を継続していくと、必ず上司への見方が変わり、良い変化が現れてきます。
簡単にマネジャーへの見方が変わらなくても諦めず、誠実な態度でメンバーと接し、信頼関係を構築することに努めましょう。

②具体的な改善アクション

メンバーとの対話を増やす

1対1で対話するのが、互いを理解し合い信頼関係を築く場として最も効果的です。
大っぴらに自分をさらけ出せる人は少ないので、個別に対話の中で、メンバー理解を深めていきましょう。

メンバーによっては、なかなか心を開いて本音で話してくれないメンバーもいます。
その場合は、マネジャー自身が先に自己開示をすることで、メンバーを信頼していることを示してみてください。

裏表のない言動を心がける

メンバーは、業務時間中の言動だけでなく、業務時間外の振る舞いも見ています。

オンオフで言ってることが違う、上司には下から出るのに部下には偉そう、当人がいない場所で陰口や愚痴を漏らす、といった表裏がある振る舞いは信頼を損ないます。
心当たりがある場合は改善しましょう。

判断軸を作り、意思決定に一貫性を持たせる

メンバーの意見を聴く姿勢は重要ですが、メンバーの意見が全て正しいわけではありません。

マネジャーは何を優先するかきちんと判断軸をもち、適切にジャッジしていかなければなりません。
判断軸がなく優柔不断だったり、時や場合により判断が変わるようでは、信頼は生まれません。

コンプライアンスや倫理観、会社のビジョン、部門のミッション、チームの役割や目標、顧客への影響、全体最適、メリットデメリットなど、何に照らしてどう判断したのか、判断の理由を説明できるように意識してみてください。

約束を守る/メンバーの意見や不満を聞き流さない

意見や不満を伝えてきた場合、メンバーはマネジャーが改善してくれることを望んでいます。
しかし、メンバーの意見や不満の中には、改善すべきではないもの、改善すべきだがマネジャーだけでは解決が難しいものも含まれます。

前者は、なぜ改善すべきではないと考えているのかきちんと説明する。
後者は、上司や関係者に相談していることや、改善が難しい理由、改善に時間がかかる旨をメンバーにきちんと伝える。

マネジャーの思考や行動は、思ってるほどメンバーに伝わらないため、メンバーに「伝える」ことを意識的に行ってみてください。

多様な価値観を受け入れる

たとえば、上司は、部下に対して「仕事ならやって当然」、「昇進したら嬉しいはず」と考えがちです。
しかし、実際はそんなことはありません。

仕事のプライオリティが低い人、責任を負いたくないので出世したくない人、さまざまなメンバーがいます。
良かれと思い、発破をかけるため、危機感を与えるため、と行動したことが相手には響かないかもしれません。

自分とメンバーは違う、という前提に立って、相手を理解するように努めましょう。

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