自己評価と他者からの評価(他己評価)の間には、誰しも多かれ少なかれギャップがあります。
従業員サーベイを実施すると、自己認知とのギャップに驚かれる人事や管理職は少なくありません。
では、実際に上司と部下との間にはどの程度の隔たりがあるのでしょうか?
管理職から見たチームの評価(自己評価)は?
マネトレを利用する従業員数200名以上の企業に所属するマネジメントを行う役職についている方(リーダー、マネジャー、課長等)を対象に、「半年前と比べて自分のチームはよい方向に変化している実感があるか?」とアンケートを実施しました。
■半年前と比べて自分のチームは良い方向に変化している実感があるか
組織の良い変化を実感している上司は、「とてもあった」「あった」を合計すると84.4%となりました。
非常に高い数値ですね。上司の自己評価では、8割を超える人が自分のチームは良くなっていると感じているようです。
一方で、メンバーからの評価(他己評価)はどうでしょうか?
メンバーから見たチームの評価(他己評価)は?
次に、主観的な上司の自己評価ではなく、客観的な意見として部下からの他己評価を見てみます。
今回、他己評価として、部下へのエンゲージメントサーベイを利用します。
先のアンケートで、組織の良い変化を実感していると答えた上司 209名の配下組織について、部下に対するサーベイによるエンゲージメントスコアの実際の変化を取得した結果が下記になります。
■良い変化を実感している上司の配下組織の半年間のエンゲージメントスコアの変化
実際にエンゲージメントスコアが上昇している組織は43.5%となりました。
上司の自己評価からは大きな差があります。
先の上司に対するアンケートでは、「変化があった」「変化が少しあった」の2つを、良い変化を実感していると判断しましたので、その点を加味してエンゲージメントスコアについて「良化」「変化なし(維持)」の合計で比較してみます。
メンバーからの他己評価は、良化、変化なしを合わせて63.1%です。
組織の良い変化を実感し、チームは着実に前進していると判断している上司が8割いる一方で、部下は6割程度しか良い変化を実感していません。
上司と部下の間にある隔たり
今回は、上司と部下の間にある隔たりを測る指標として、上司の自己評価と、他己評価として部下のエンゲージメントスコアを軸に比較しました。
上司と部下の間の隔たりは確かにあり、上司は自己評価が、部下からの他己評価より高くなる傾向があるようです。
また、その差は約2割であり、上司は自分が考えているより2割程度割り引いてチームの状態を捉えると、マネジメントがより適切に行えるかもしれません。
- 上司は部下からの他己評価よりも、自己評価が高くなる傾向
- 上司と部下の間にある隔たりは約2割
調査概要
■調査対象
・従業員数200名以上の企業に所属するピープルマネジメントを行う管理職(リーダー、マネジャー、部長等の管理職)
・管理職250名(アンケート調査に協力した管理職の人数)
■調査方法
1.ミドルマネジメント育成クラウド「マネトレ」を利用する管理職に対するアンケート調査
2.アンケートに回答した管理職の組織における従業員サーベイによるエンゲージメントスコアの変化を計測
■調査期間
2021年10月〜2022年3月