MENU

マネジャーは組織に必要か?|Googleに学ぶピープルマネジメント

昨今、マネジメントを廃したフラットな組織運営をするスタートアップが登場したり、ティール組織、ホラクラシー組織、といった新しい組織体への注目が高まっています。
変化が激しい時代、社員一人ひとりがリーダーシップを発揮し、さらにフォロワーシップを持ってサポートし合う組織を目指したい、といった考えは多くの企業が思うところです。
従来のヒエラルキー型組織ではなく、フラット型の組織へ注目が集るのは当然とも言えますが、これからの時代、マネジャーは組織に必要のない存在になってしまうのでしょうか?

目次

役職が役割として認識されない日本企業

日本企業の多くでは、課長、部長といった役職が、役割ではなく、その人の地位やスキルとして認識されています。
地位は人に付随するので、めったなことがない限り「剥がされる=降格」されることはありません。
役割であれば、変えることも出来ますが、地位である役職が外れることは、本人のモチベーションや周囲からの見られ方に大きくマイナスに働いてしまうからです。
降格が制度としてはあるものの、それを行使したところで負の側面が大きく出ることが予想されるので、運用はなされていないのが多くの企業の実態です。

転職において、私は部長ができます、と話される方がいるというネタのような話がありますが、まさしく役職が地位やスキルとして自分に付随しているもの、と勘違いしている顕著な例です。

こうした文化的背景があるため、スキルとしてのマネジメントについて、多くの企業、管理職がこれまであまり深く考えてきませんでした。
終身雇用や年功序列型制度の崩壊と併せて、役職やマネジメントについても変革の機運が高まっており、今後日本企業の管理職のあり方も大きく変わっていくはずです。

優れたマネジャーは組織のパフォーマンスを高める

この問に対する壮大な実験を行った企業がGoogleです。 エンジニアが伸び伸びと働くためには、管理する存在は邪魔なのではないかと考え、エンジニアの上司であるマネジャー職を廃止しました。
結果はどうだったのでしょうか?

2008年にProject Oxygenと名付けられた大規模調査が行われました。1万人以上の社員が参加し、データを分析したところ、当初想定していた逆の結果が出たのです。
「その人がいたほうが組織全体のパフォーマンスが高まる上司像」が明らかになり、マネジャー職は復活されました。
現在もProject Oxygenは優れたマネジャーの要因を特定するプロジェクトとして継続しています。
参考 re:Work

チームのパフォーマンスを上げるマネジャーに必要なのはピープルマネジメント

下記は現在GoogleがHPで公開している、最高のパフォーマンスを上げているマネジャーに共通する要素です。(適宜更新されています)
驚きですが、最高業績のマネジャーに共通する重要な要素は、技術的スキルではなく、ほぼ全て「ピープルマネジメント」となっています。スキルの項目は8番だけです。

「Googleの最高のマネジャーの10個の行動」

1 良いコーチである
2 チームを鼓舞し、マイクロマネジメントをしない
3 包括的なチーム環境を作り、部下の成功と幸せに関心を持っている
4 生産的で結果志向である
5 優れたコミュニケーターである(聞き手であり、情報をシェアする)
6 部下のキャリアについてサポートする
7 明確なチームのビジョンと戦略を持っている
8 チームにアドバイスができる主要な技術スキルを持っている
9 Googleを横断したコラボレーション
10 意思決定力が強い

世界中から優秀な人材を集め、一人ひとりがリーダーシップを発揮し、フォロワーシップを持ってサポートし合う組織の理想の一つとして上がるGoogleですが、それでもピープルマネジメントはチームのパフォーマンスにとって重要であることを示しています。
同社はこの10項目についてマネジャーをトレーニングしています。
役割としてのマネジャーは「これからの時代にこそ」必要なのかもしれません。

ピープルマネジメントを疎かにしてはいけない

あなたの会社の管理職育成はどうでしょうか?
日本企業の多くは、これまでの時代背景もあり、ピープルマネジメントに関する十分なトレーニングやサポートを管理職に対して提供できていません。
現場の管理職も、ジョブマネジメントばかりに気がいってしまい、ピープルマネジメントは我流でなんとなくこなしているのが実情です。

メンバーが当事者意識を持ち、高いパフォーマンスを発揮する組織を作るには、管理職のピープルマネジメントは不可欠です。
組織のパフォーマンスやミドルマネジメントに課題を感じているようであれば、この機会に「ピープルマネジメント」の強化について検討してみてはいかがでしょうか?

よかったらシェアしてね!
目次